新築・改修・耐震をお考えのあなたに伝えたい11のこと

設計事務所に頼むということ

いろいろなサイトでいろいろな方がいろいろなアプローチでこの事について書いておられるので、今更感も強いのですが、
まず、知っておいて欲しい大切なことは、
設計事務所に依頼するということは、直接、建築士に依頼するということです。

ちなみに、「設計士」という言葉は法律上存在しませんのでご注意下さい。

原則、建築物の設計は建築士でなければ出来ません。
業務独占資格といいます。医療行為を行うには医師の資格が必要なのと同じことです。

ですので、ハウスメーカーに頼もうが、超大手スーパーゼネコンに頼もが、地元の工務店に頼もうが、
必ず設計は必ず建築士が行っています。

ハウスメーカーで営業の方と話をしていても、建築士が設計を行っています。

そして建築士が業務として(報酬をもらう)設計を行うには、
建築士事務所として登録していなければいけません。

○○ハウスも、○○住宅も、○○組も、○○建設も、自前で建築士事務所を持っているのがほとんどです。
結局どうあがいても、建築士事務所の建築士が設計しているのです。

法律で決まっているので当たり前です。

確認申請書にも、


設計者:(株)○○ハウス一級建築士事務所
工事施工者:(株)○○ハウス

なんていう風に書いています。
世間で言う、いわゆる設計事務所に頼むということは、

施工者との主従関係が存在しない、資本提携等のない、
設計・監理専業の建築士事務所(設計事務所)に頼むということを言います。

これを設計施工分離といいます。

公共建築物は基本的にこの方法で発注されます。

設計を行った建築士事務所と資本提携等のあるゼネコンは工事の入札に参加できません。
入札に参加しなければ、設計を行うことが出来るのですが、それは今まで聞いたことがありません。
設計より工事のほうが利益が出るからでしょうか。

設計図があって、それにしたがって見積り、工事をする。これが世界共通です。
日本のように設計施工一括方式というのは世界的には珍しいのです。

ハウスメーカーなどでは、ハウスメーカーと建築主との間の契約のみですが、
建築士事務所に依頼すると、建築士事務所と建築主との間にまず設計業務の契約が結ばれます。
工事は別途工事業者と建築主との間で契約を結びます。
そのためか、メーカーだと設計料が要らないだとか、
設計事務所に頼むと設計料が必要になるから高くなるという議論になるわけですが、

建物を建築するためには必ず誰かが行っているので、
設計料がいらないということはその設計を行っている建築士が無給で働いているということになります。


当然そんなことはないので、見積書に設計料の項目はなくても
メーカーの建築士さんもどうにかしてお給料はもらっているはずです。

ハウスメーカー所属の建築士は設計事務所所属の建築士よりもお給料が安いのでしょうか?

不思議です。多くの人がこのことを疑問に思われないのも不思議です。
ただ、いくつかの決まったパターンがあってそれに沿って設計を行うのと、
1件ずつオリジナルの設計を行うのとでは、設計するのにかかる費用が違うのは当然です。

設計も施工も一括で同じ会社に依頼するか、設計と施工を分離してそれぞれ別に依頼するか、
この違いが設計事務所に依頼する場合とそうでない場合の一番大きな特徴です。

「工事監理者」は誰ですか?

建物を建てる前に法律で定められた検査機関に「確認申請書」を提出し「確認済証」の交付を受けなければ、工事を開始出来ません。

その確認申請書には、建築主の氏名はもちろん、設計者と工事監理者の氏名を記入します。

設計者の存在はみなさんご存知だと思います。 しかし、「工事監理者」の存在をご存知のかたは少ないのではないでしょうか?

ハウスメーカー等で建てられた方、あなたの建物の工事監理者は誰なのか知っていますか?

「工事監理」とは

「工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認」
することと、法律で定められています。

また、

「建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。」
とも定められています。

設計と同様、工事監理も建築士の資格を持ったものでないと出来ません。


なんて便利な制度でしょう。建築主の代わりに工事をチェックしてくれるのです。
その人間を選定してから建物の申請をしなさいとなっているのです。

それなのに、最近都市部では、建築中の現場の検査を第3者の建築士に依頼する方が少なからずおられます。
欠陥住宅などの問題もあるけど、工事のどこをどう見ればよいのか素人では不安だしという方が、依頼されるようです。

その建物の「工事監理者」がいるはずなのに。

一般の人がそんな心配をしなくていいように、
建築士という資格を持った専門家が工事監理者として存在しているはずなのに。

よく勘違いされますが、現場の監督さんとは違います。

現場の監督さんが行うのは
「管理」で、

我々建築士が行うのは
「監理」です。

仕事の内容も違いますし、必要な資格も違います。

「工事監理者」の存在を知らない方が非常に多いのです。


少し前の話ですが、構造計算書偽造問題というのが一時世の中を賑わせました。
国会で証人喚問まで行ったのでご存知のかたは多いと思います。

しかしそこで取り上げられたのは、構造設計を行った某建築士と、
工事を行ったゼネコン、計算書の審査を行った検査機関でした。

  1. (1)偽装を行った某建築士は当然許されるものではない。
  2. (2)明らかに少ない鉄筋量で工事を行ったゼネコンはそれを見抜けなかったのか。
  3. (3)偽装を見抜けなかった検査機関に責任はないのか。

が大まかな問題点でした。

しかしここでも工事監理者はその名前すら出てきません。
国会中継を見ていても、だれも触れようとしませんでした。
図面通りかどうかを確認するのが工事監理者ですから、罪はないとも言えますが、
それなら建設会社にも罪はないはずです。

工事監理も専門知識をもった建築士でないと出来ないのです。

工事現場で鉄筋の確認をした時に「あれ?少ない?」と思ってもおかしくありません。
工事監理者が国会に呼ばれることはありませんでした。
工事監理者が建設会社所属の建築士だったのか、独立した第3者の建築士だったのかも分かりませんでした。
とても不可解でした。

まるで、「工事監理者」という法律で定められた者の存在が明るみに出ると困るかのように、
その存在が無視されていました。

建物を建てるときは必ず、「設計者」と「工事監理者」が誰なのかを確認して下さい。

「工事監理者」がどのような工事監理を行ったのか、確認して下さい。
法律で工事監理の結果を建築主に報告しなさいと定められているのです。

建物に法的な不備があった場合や、偽装を行なった場合など、
そして実際は行うつもりはないのに、「設計者」や「工事監理者」として名義だけ貸している場合などにおいて、
全て罰せられるのは建築士の資格を持ち、確認申請書に記載されている「設計者」であり、「工事監理者」なのです。

少なくとも、一般的な設計事務所の結ぶ契約書は、
「設計・監理業務」となっているはずです。
工事監理も業務として行い報酬を頂くからです。

ハウスメーカー等で建てられる人は、工事監理者はもちろん、
もしかすると自分の家の設計者すらも誰なのか知らない人も多いのではないでしょうか?

少なくとも書類上は存在するのです。きちんと工事監理をしてもらいましょう。

繰り返しますが、建築士の名義貸しは処分を受けるのです。

※国土交通省では【一級建築士の懲戒処分について】として、懲戒処分を行った1級建築士の氏名とその内容を定期的に公表しています。昨年(平成25年)の9月には何と32名もの1級建築士が、名義貸し(設計や監理をしていないのに名前だけ申請書に載せている)や、虚偽の申請(違法とわかりながら図面をごまかす)、構造偽装などで処分を受けています。

増築・改築・改修・リフォーム・リノベーションでまず調べること

最近TVなどの影響もあり、いわゆるリフォーム工事を行う方が増えています。

中古住宅を購入して自分好みにリフォーム、という方も増えています。
子世帯のために母屋に増築して、という方も増えています。
いっそのこと、全部立て直しの改築、という方も増えています。
中古マンションをリノベしたよ、という方もおられます。

日本語は難しいもので、一体これらの言葉の定義はどうなっているのでしょうか?


増 築 =
すでにある建物に付け加えて建築すること。建て増し。
改 築 =
建物や建造物を全部または一部とりこわして作りかえること。
改 修 =
建物などの悪い部分を直すこと。
リフォーム =
新築時の目論みに近づく様に復元する(修繕)
リノベーション =
既存建物を大規模に改装し、用途変更や機能の高度化を図り、建築物に新しい価値を加えること。

辞書などでは上記のような定義となっています。

役所への申請が必要となる工事、必要でない工事どちらもあるわけですが、
最近は、既存の建物に新たに増築して渡り廊下等で接続したい。
という相談が住宅、施設問わず非常に多くなっています。


まず大切になってくるのは既存の建物が適法であるかどうか。
これが大前提となります。

つまり、カーポートや自転車置き場、サンルーム、倉庫などを役所への申請なしに作られていれば、
基本的に全て違法建築となりますので、それらを適法に是正することから始めなければなりません。

また、接続する既存の建物が旧耐震基準の場合、つまり昭和65年以前(1981年以前)に建てられた建物の場合、
既存の建物の耐震診断を行い、耐震補強を行わなければ、接続しての増築は原則不可となります。

住宅はもちろん、施設でも同じですので、
病院や保育園など、昔からいくつかの棟を渡り廊下等で接続して使用していて、
ある棟を取り壊して建て替えたい(改築)ときなど、ここでは説明できないくらい、
非常にややこしく煩雑な行政上の手続きが必要となります。

行政の方も頭を抱えている時もあります。
それを何とかするのも設計事務所の腕の見せどころだったりもします。

簡単に「出来る出来る!」という業者には要注意です。

さらに、昔の建物には建築時の申請は行っていても、
工事完了時に役所の完了検査を受けていない建物が少なからずあります。

どういうことかというと、
こういう建物を建てます、と役所へ申請を行うと、役所が確認してくれるわけですが、
本当に申請通り建てられたかどうかは、完了検査を受けていないと、誰も証明できないわけです。

ですので、完了検査を受けていない建物は、まず、申請通り建てられているかどうかの調査が必要となります。

リノベしてマンションを店舗にとか、倉庫をカフェにという場合でも、
元の建物が完了検査を受けていなければ、適法な建物がどうか、耐震性が確保されているのかどうか分かりません。

さらにこのような場合、元の建物の用途が変わるので用途変更という申請も必要となってきます。
収容人数が変わるかもしれないので、荷重の確認や、スプリンクラー、避難経路などいろいろなことをチェックしなければなりません。

最近の建築業界では、古い建物を調査し、違法な部分を是正し、耐震補強を行い、新たに完了検査を受け、
その建物の財産価値をあげるということも多くなってきました。

これが本当のリノベですね。


耐震補強を行い、完了検査を受け、適法であるとのお墨付きを貰うことで、
古い建物であっても銀行からも融資をもらいやすくなり、
また、集合住宅だと、家賃もあげることが出来るようです。

繰り返しになりますが、

既存の建物に対して何か工事をしよう、中古の建物を購入しよう、と思ったらまず、

  1. (1)その建物がいつ建てられたのか
  2. (2)建築当時確認申請を行っているのか
  3. (3)完了検査を受けているのか
  4. (4)違法な改修、増築等を行なっていないか

を調べて下さい。

これらが分からない建物の場合、長い目で見るとあまり手を出さないほうが良いかもしれません。

国もこれらの建築物の履歴とも言えるものを明確に記録していきましょうと、新たな法整備等を検討しているようです。

昔はそれでも良かったのに…。昔はそんなこと言われなかったのに…。

よく耳にしますが、昔は昔です。
そんな理屈は通らないというのは子どもにでも分かることです。

キツイ言い方になりますが、
自分だけは大丈夫、と工事金額の安さに釣られて、しまった~、とならないようにしましょう。

たかがリフォームだと簡単に考えてはいけません。

取ってはいけない柱を取ってしまって業者と揉めている物件の相談もありました。

建物が傾いてきたというので調査すると、あまりにもずさんな基礎工事だったという相談もありました。

500万未満のリフォーム工事には何の資格もいりません。建設業の許可もいらないのです。

ですので、看板を掲げればすぐにリフォーム工事を請け負うことが出来るのです。

何かあってからでは遅いのです。
欠陥住宅関連の相談者はみなさん、自分だけは大丈夫と思って、
安易に、もっと言うと適当に契約しすぎです。

依頼する、しない、工事する、しない、
の前にせめて、まず信頼の置ける設計事務所に相談だけでもしましょう。

設計料について

住宅の設計を設計事務所に頼むと工事費の10%位とよく言われていました。


今でも年配の方の依頼を受けると、そう言われます。
事務所ビルや施設の場合は、工事費の5%位、とよく言われました。(消費税より安いなんて…。)
ご存じの方も多いと思います。
ただ、ここ最近は大きな法改正(平成21年)もあり、設計料も上がっています。
なぜなら単純に設計の作業量が増えたためです。
施設などの場合、上で述べたような工事費の5%位で予算を立てると、合わない可能性が高くなります。
実際、申請手数料などの、昔で言う役所へ申請する際の印紙代も上がっています。
ご注意下さい。

設計料は余分にかかる無駄なお金と考えている人もいるようですが、

ならば、私たちは無駄な仕事をしているのでしょうか?
私たちに依頼してくれた人たちは、無駄なお金を支払ったのでしょうか?
そうではありません。
私たちからすれば、設計料は要りませんというところに頼む方の方が、
無駄なお金を支払っているような気がします。

『詳細な設計図書もなく、契約書もなく、工事費内訳書もなく、工事写真もなく、
全てが曖昧な口約束のようなもので本建物は工事されてきたのだと推察されます。
全体的に工事が粗雑な印象を受けますが、根本的な問題はやはり曖昧なままの工事着工だと思われます。
図面に記載のないものは建築基準法以外に、国や住宅金融公庫等の仕様書等による。
と一般的には図面に記載するのですが、
それもありませんし、詳細な図面も工事見積りもありませんので、
なにがどのようにどうしてダメなのかというのを証明するのは大変だと思います。
建物の揉め事は場合、今回同様詳細なものが何もないというのが殆どですが…。』

これは、いわゆる欠陥住宅の調査で、私が弁護士宛に書いた私見です。

他の物件にでもいくらでも使い回しできる内容です。
どんな建物にもあてはまる普遍的な大事な大事なことなのです。
きちんとした設計図がなければ、後々困るのです。

リフォームする時、売却する時、図面がなければ大変です。

もちろん、上のような欠陥住宅になってしまった場合、図面がなければどうしようもありません。

話を戻します。
工事費に対する率で設計料を決めると、設計者が頑張って建築コストを下げれば、
必然的に自分の報酬も下がるという、一体何をやってんだか…。という状態になります。


平成17年(2005年)の構造計算書偽装問題をきっかけに、これじゃマズイだろうということで、
設計料の算定の方法が見直されました。(それ以外の建築関係の法律も大きく変わりました。)


工事費に連動するのではなく、その建物の用途と面積によって設計料を算定することになりました。
まあ、これがまた非常にややこしい算出方法です。

一応国土交通省の該当部分へのリンクを貼っておきます。

一般の人にはちょっと難しいかもしれませんが、参考に…。
建築士法 国土交通省告示第十五号

ちなみに、誤解なきよう伝えておきたいのは、
設計料とよく世間で言われるのは、設計監理料のことです。


設計だけではなくて、現場での監理料も含まれています。
鉄筋の太さを確認したり、コンクリートの強度を確認したり、
外壁の色を検討したりします。

設計料と監理料は大体7:3くらいの比率です。
100万円の「設計料」だと実際は70万円位が設計料で30万円位が監理料です。

設計料というのはほとんどが人件費ですので、どれだけ凝ったデザインにするか、
どれだけ建築主と設計者が相性が良いか、
どれだけプロジェクトがすんなり進んでいくかによって、当然ですが、実際に要する時間は物件によって変わってきます。


工事費が同じでも、設計に要する時間は同じではありません。
かかった時間をそのまま請求できればよいのですが、そうもいかず、大体これくらいというのが分かりやすいのが、
工事費に対する率での計算だったわけです。

上の国交省の算定基準で設計料を算出すると非常に高額になりますが、
公共建築物の設計料は基本的にこれに基づいて算出され始めています。

民間でも同じように、工事費連動ではなく、面積を基準にして算出する事務所も増えてきました。
住宅の場合、坪当たり○万円という風にです。

45坪の家で、坪当たり6万円の事務所だと、270万円の設計監理料です。
坪当たり10万円の事務所だと、450万円になります。

まあ、大体これくらいにまでに納まるのではないでしょうか。

どこの事務所も相談には応じてくれると思います。

さあ、ココからは一体誰が見てくれるのか分かりませんが、
実際に国土交通省の告示に基づいて住宅の設計料を算定してみます。
おそらく、一般のかたは途中で挫折すると思います。

これは上のリンク先の1ページです。

【別表第14 戸建住宅(詳細設計を必要とするもの)】
にあてはまる、150㎡の住宅とします。

書かれている数字は「時間」ですので、「日」に直していきます。
(時間を8で割ります。)


総合 :
490人・時間 = 61.25人・日(61.25日間の作業を要するということです)
構造 :
97人・時間 = 12.12人・日
設備 :
130人・時間 = 16.25人・日

※「総合」とは、建築物の意匠に関する設計並びに意匠、構造及び設備に関する設計をとりまとめる設計を
「構造」とは建築物の構造に関する設計を、「設備」とは建築物の設備に関する設計をいいます。

この日数に設計技術者の日当単価(¥27,100/国交省から出ている基準額<平成26年度>です)をかけます。


総合 :
61.25日×27,100円 = 1,659,875円
構造 :
12.12日×27,100円 = 328,587円
設備 :
6.25日×27,100円 = 440,375円

合計2,428,837円です。

これは直接人件費というものになります。

設計料は、
【直接人件費 + 諸経費 + 技術料経費】となります。

これも国の算定基準に基づいています。

人件費はあくまでもいわゆるお給料ですので、
このままだと事務所の家賃や電気代、ガソリン代、コピー代や模型の材料代などがでませんので、
事務所の維持費等として諸経費を計上します。

技術料経費は私たちは建築士という専門職ですので、その技術料を計上します。


建築士事務所の諸経費は直接人件費の100%、つまり同額です。ですので、

【2,428,837円 + 2,428,837円 + 技術料経費】
となります。

あとは、技術料経費です。もう少しです。

技術料経費は

【(直接人件費 + 諸経費)×0.2】です。
計算すると、971,535円となります。

つまり、

設計料=【直接人件費 + 諸経費 + 技術料経費】は、

【2,428,837円 + 2,428,837円 + 971,535円 】となり、

設計料は、

【5,829,209円】となります。

しかし、これはあくまでも設計料です。「設計監理料」ではありません。

同様に監理料も計算すると、
【2,739,809円】となります。

「設計監理料」は

【8,509,018円】となります。

これが国が定めた算定基準に基づいた設計監理料です。

つまり150㎡45坪の住宅の場合、

850万円の設計監理料ということになります。

すごいです!

スター建築家ならこれくらいするのかもしれません。

先ほどの国交省の算定基準の表の一番下に【その他の戸建住宅】というのものがあります。

これで計算すると、

【設計監理料】は、
4,308,900円です。
だいぶ落ち着いてきました。

ココからは非常にマニアックになっていきますが、
和歌山県発注の公共建築物の設計者は入札で決めます。(大変嘆かわしいのですが)

まあ、安けりゃいいだろうという訳にも行かないので、最低制限価格というものを設定しています。

それが、県で算定した設計料の大体77%くらいです。
県が国の基準に基づいて計算した設計料の77%を下回ったら品質に心配が出るからダメですよ、というラインです。

これを用いると、

4,308,900円 × 77%=【3,317,853円】
となります。


どうでしょう。いいところに着地しました。

実際に地元で主に住宅の設計を真面目にされておられる方は、大体これくらいの「設計監理料」のようです。

ここまで読んで頂いた方、感謝です。ご苦労さまです。

上記はあくまでも参考ですし、
【その他の戸建住宅】というのは詳細な設計を必要としないものですから、
設計事務所の設計料の算定としてこの項目を使うのはおかしいと思います。

構造計算の要不要の問題もあります。
ただ、国交省も根拠なしにこの算定方法を作っているわけではないので、
(私も少しだけ関わらさせて頂きましたが)
私たちの事務所での設計料は国交省の基準を参考にして算定しています。
あとは個別に相談というのが実際のところです。

補助金等を使っての施設を建築するために

保育園や老人福祉施設、障害者授産施設など、
補助金を使っての建築に関する相談も非常に多いので説明しておきたいと思います。

公的な補助金や助成金を使っての施設を建築するということは、
税金を使って建物を建てるということになります。

気を付けなければいけないのは、補助金の申請をして、
お金をもらって終わり、と単純にはいかないことです。

税金を使う以上、その使途が正しくなくてはいけません。
公共建築物を建てるのと同じくらいの厳しさをもって望まなければいけません。

ここでは、あるZ市での事例を使って設計事務所の関わり方の具体的に流れを説明したいと思います。


事業主
: A社会福祉法人
施設
: 地域密着型特別養護老人ホーム(29床)
建築予算
: 2.5億円
補助金額
: 5千万円

とします。いわゆる特養ですね。

障害者のための施設だったり、保育園だったりもしますが概ね同じ流れになります。
(1)10月
Z市のHPに来年度の事業者の公募の概要が出ます。
応募締め切りは12月です。
【地域密着型特別養護老人ホーム(29床)/補助金額5千万円】
(2)10月~12月
事業主の方から相談があります。
応募するための下記のような書類等を作成しなければなりません。

資金収支計画書、借入金額及び償還計画表、従業者の勤務の体制表、
開設までのスケジュール表、計画地と周辺の住宅地図、整備予定地写真、
登記簿謄本、敷地配置図、設計図面(各階平面図)、
建物の部屋別床面積表、法人の定款、
法人の現在行っている事業内容が具体的にわかるパンフレット等…etc

大変ですが、大切な税金を使うのですから仕方がありません。

応募提出書類には設計図面とあるので、この段階で事業主は設計事務所に相談しなければなりません。
補助金を使う場合、原則として、設計と施工を同じ会社が行うのは禁止されています。
公共建築物と同等に扱うため、不正が発生しないようにです。

事業主と設計事務所で打合せを行い、計画図を作成していきます。
これは詳細なものではなく、あくまでも計画図となります。
しかし、もし今回の補助事業者に選定された場合、応募書類からの大きな変更は認められませんので、
事業主と何度もやりとりし充分に計画図を煮詰めいていきます。
今回の事業についてのヒアリングも応募書類提出後に行われますので、
事業者に選定されるために、いわゆる「ウリ」の部分も検討します。
(3)2月
市のヒアリングを受けます。
これは事業主の方が出席します。
私たちは出席できませんので、図面に対するレクチャーはヒアリングまでに何度も行います。
(4)3月
数者の応募者の中から事業者に選定されました。
この段階ではまだ予定者ということなりますが、
この段階から、具体的に進めておかないと間に合わないため、詳細な図面作成に入っていきます。
(5)5月
市から国へ申請していた補助金の内示が下りたとの連絡が入ります。
(国への申請は行政からでしか出来ないので、まず市で代表選手を決めたということになります。)
(6)7~8月
図面が完成→確認申請。
工事業者の選定も行われますが、補助金事業であり、社会福祉法人でもあるため、
公共建築物と同様、工事入札を行わなければいけません。
(7)8月中旬~下旬
入札参加工事業者選定→入札→落札工事業者決定。
市にも入札に参加してもらう予定の工事業者を報告し了承をもらいます。
この作業だけでも2~3週間ほど要します。
入札時には市の職員の方にも立ち会ってもらい、不正、不備がないよう入札書類等も何度もチェックします。
入札の進行は設計事務所の人間が行うことが多いです。

入札額が予算を超えてしまった場合、再度入札参加業者の選定からやり直しとなり、さらに時間がかかります。
(8)9月
工事契約、着工。
工事完了までに担当部署の方が工事の進捗等の確認に来られます。
(9)2月~3月
工事完了、各種検査。
普段行われる検査以外に、補助金交付のための検査があります。
税金を使っているので非常にシビアな検査となります。
市、県と2つの行政庁から別々に検査を受けることもあります。
検査書類を整えるのにも2週間から1ヶ月を要します。



1日掛けて書類検査、現地での検査が行われます。
設計事務所が一番気を使い、また胃の痛くなる時です。
工事期間中から関係書類や工事写真など、細かく丁寧に記録しておかなければいけません。

補助金検査合格して初めて事務机や介護ベッドなどの搬入が可能になります。
開設へ向けての準備が始まります。
(10)施設開所
なんとか年度内に検査も合格し、新年度から開設できました。

以上は様々なものが非常にスムーズに進んだ場合です。

近隣との関係で工事が遅れたり、地面を掘ってみると予想もしなかった廃棄物が出てきたり、
震災の影響で工事がストップしたこともあります。
実際は3月の年度内の完成は難しく、新年度に入っても工事が続く場合も多々あります。

必要な工事中の写真がなく、検査官の現地検査で壁を破壊して部材を確認した、だとか、
設計者も施工者も補助金検査というものをイマイチ深く考えていなかったようで、
何の書類も写真も準備することなく、工事を完成してしまい、当然検査に通るわけもなく、
施設の開所が大幅に遅れてしまった、という話を耳にすることもあります。


補助事業の場合、初めの計画から施設開所までのタイムスケジュールと厳しい検査があるということを
事業主、設計者、工事業者、行政庁の担当部署、みながきちんと把握しておかなければなりません。

一般の民間工事にはない工程、検査が入ってきますので、
充分な余裕を持ってのタイムスケジュールを設計者とよく相談してください。

補助金の検査はやり慣れていないとなかなか上手く行きません。

充分注意して事業を進めて下さい。参考になれば幸いです。

補助金等を使っての施設を建築するために

設計事務所に頼むと高くつきそう、敷居が高い、頼みづらい、
デザイン優先で住みにくそう、こっちの要望を聞いてくれなさそう。


ネット上にはこれら設計事務所に対するネガティブな言葉がたくさんあります。
またこれらに対する返答も山のようにあります。

少し単純に考えてみたいと思います。


知合いに医者がいれば心強いですよね、やっぱりなにか気になることがあれば聞いてしまいますよね。
知り合いに、友人に、肉親に一級建築士がいればどうですか?


住宅展示場のモデルハウスに一緒に行って欲しくないですか?
マンションの内覧に一緒に着いてきて欲しくないですか?
建売住宅や中高住宅を購入前に一緒に見て欲しくないですか?
違う設計事務所の話を聞きに一緒に行って欲しくないですか?

私は全て行ったことがあります。

遠方の友だちだったり、家の事情だったりで、私が設計しないと決まっていた方たちです。


業務としてこれらを行なっているわけではありませんが、友人や親戚に頼まれると、
折角頼りにしてくれているのだから、あまり深く考えずに同行することにしています。

友人が一級建築士なら必ずと言っていいほど、建物に関してはみなさん相談すると思うのです。
それでいいんです。もっと気軽に相談してくれていいんです。どんどん来て下さい。

とにかく、ハウスメーカー、工務店、どこに頼む頼まないの前に、
建物を建てる、建売を買う、リフォームすることなどを考えた場合に、まず設計事務所に相談して下さい。

そろそろ一戸建て欲しいなぁ、そんな状態からの相談でもOKです。

友人が建築士なら相談するのですから、初めは行きにくいと思いますが、思い切って訪ねてみてください。
どの設計事務所も心よく相談に乗ってくれるはずです。行かないともったいないです。

これだと、設計事務所のメリットを説明してしまっているようなので、タイトル通り、ズバッとデメリットを書きます

    1. (1)設計事務所、建築家と相性、気が合わないとき。

      これは最悪です。
      自分の好みが全く理解してもらえない。
      設計事務所の考え方を押し付けられる。
      年齢、世代のギャップが生じてしまう場合があります。

      そうならないためにも、いろいろな設計事務所を訪問して、話を聞いてみるのをおすすめします。
      「話だけ聞かせて下さい。」でも全然心配ありません。それを断る事務所はまずないでしょう。

      もし断られたら、そんなのこっちから願い下げだと思って下さい。
      建物が完成するまでも長い期間かかりますが、完成後も長い付き合いになります。
      なんでも言える間柄になれそうな事務所を選んで下さい。

      私たちの事務所では、相談に来られた方とゆっくり話をして、
      好みや考え方を聞いた上で、双方納得の上で、知り合いの事務所を紹介することもあります。

      設計事務所が設計事務所を紹介するのです。
      これ以上の紹介はないと思います。
      その設計事務所の力量も分かっているのですから。

      ○○事務所は良いですよ。
      自信を持って紹介できます。
      と具体的な事務所名をココに書きたいくらいです。
    2. (2)初めに工事金額がいくらになるのか分からない。

      これは仕方がありません。
      設計図がないのに詳細な工事金額の提示は誰に頼んでも不可能なはずです。

      様々な条件によって工事費は異なります。
      地盤の状況や周辺環境、その時の国全体の経済状況等にも、工事費は影響します。
      震災復興や、オリンピック開催等は非常に大きく影響します。
      簡単に坪〇〇円で出来ます。という返答が一番不誠実な答えだと言えます。
      出来るとすれば、それはどんぶり勘定でしかありませんし、
      余裕を持って多めに金額を提示することしか出来ません。

      設計事務所では詳細な設計図の作成の前の基本計画が決まってきた頃に、
      概算の工事金額を検討し、建築主に提示します。

      その段階でプランを見なおしたり、仕上げや設備機器のグレードを再検討したりします。
      最後は工事を実際に行う工事業者に見積もってもらわないと工事金額は分かりません。

      ただ、設計事務所では積算業務というのも行なっております。
      積算というのは、工事の材料費や労務費などを1mm単位、一日単位で詳細に計算を行い、工事価格を算出するものです。

      公共工事では設計事務所がそれを行い、その価格が工事の予定価格となります。
      それに対して施工業者が設計図を読み込み、見積りをし、入札を行うという流れが一般的です。

      ですので、少々費用がかかりますが、
      これ以上の金額にはならないだろうという詳細な工事金額を算出することは可能です。

      積算業務のみを行う、積算事務所というのも存在するくらいです。
      が、実際に工事を行う施工業者の見積りと同じにはなりません。
      工事業者の営業努力等によって最終的にいくらになるのかは分からないということです。
    3. (3)基本的に一品生産なので出来上がるまで分からない。

      大量生産でもなく、工場生産でもなく、現場でその場でいちから作り上げていきます。
      モデルハウスもありません。
      「出来上がるまで分からない」
      そのとおりだと思います。

      設計者も今までのノウハウはありますが、基本的に一つ一つゼロから図面を書きます。
      新たな試みに挑戦する時もあります。
      モデルハウスがあってそのまま建てることが出来れば行き違いも少なく安心できるかもしれませんが、
      その家族にはその家族に適した住宅があるはずです。
      その法人にはその法人に適した施設があるはずです。
      その最適解を目指して設計事務所は設計を行います。
      その目論見がハマればそれは素晴らしい建物になります。

      しかし、これはちょっと…。とならないように、とにかく説明をしてくれる設計者を選びましょう。
      たとえ新しい試みであっても、きちんとそれに対するメリット・デメリットの説明を受けて納得すれば問題ないはずです。

      いまはCGも随分発達してますし、温熱環境のシミュレーションも出来るようなっています。
      これらに加えて設計事務所では模型も作成することが多いので、
      一昔前よりは事前にどういう建物になるか、理解してもらいやすくなりました。

      くどいくらい説明してくれる設計事務所を選ぶのが、 出来上がるまで分からないという不安を払拭する一つの有効な方法です。
    4. (4)会社、企業としての安心感がない。

      設計事務所で資本力のある事務所は大手設計事務所を除いて、あまりありません。
      ないと言ってもいいかもしれません。

      会社としての継続を担保できる事務所も少ないでしょう。
      一代限りで事務所を閉鎖するのも珍しくありません。

      高いお金を出して何十年も住むものですから、慎重に…。
      と私たちもよく言いますが、当の事務所が何十年も残っていなかったりします。

      欠陥住宅になってしまった時、それを補填する支払い能力のある設計事務所もほとんどないでしょう。

      基本的には、八百屋さんや魚屋さんのように個人商店である設計事務所が多いので、
      その店がなくなったら、責任をとってもらいようがない、となってしまいます。

      しかしそれではまずいわけで、最近は設計事務所が加入する保険があります。

      建築家賠償責任保険や建築士事務所賠償責任保険などがあります。
      最低でもこれらの保険に加入している事務所に依頼されるの良いと思います。

      保険に加入しているからといって、前述してきた不安が解消されるわけではありませんが、
      その事務所の姿勢としても保険くらいには入っていなければならないでしょう。

      また、建築士という個人の資格で個人の能力で業務を行なっている事務所が多いので、
      やはり、個人の能力の研鑽や情報収集が大切です。

      建築士関連の団体として、建築士会、建築士事務所協会、日本建築家協会という3団体があります。
      これらが建築士のいわゆる公的な団体です。
      建築士の定期講習を開催したり、行政が行う無料の耐震診断や、
      災害時の建物の調査などもこの3団体から派遣されます。

      団体に所属し、講習会に出席したり、勉強会を行なったり、他事務所と情報交換したり、
      所属団体やその他の活動も事務所を選ぶ一つの目安になるでしょう。


      どの団体にも所属していないのは少し考えものです。

私たちもデメリットをそのままにしておくのではなく、
保険制度など、弱みをカバーする努力をしていますが、
やはり、たくさんの設計事務所と話をして、
その事務所のスタンスを把握して、依頼先を決めることが大切です。

坪単価のふしぎ

坪○○万円などという広告を目にされる方は多いと思います。

そもそも坪単価とは何なのでしょうか?

家の1階の床面積が20坪、2階の床面積が20坪だとすると、その家の延床面積は40坪となります。

建築費用が2000万円の場合、2000万円÷40坪で一坪当たり50万円の費用がかかるということになります。

つまり坪50万円の家ということです。

しかし、そう単純に家は建ちません。

例えば、
40坪の家のキッチンが40万円だとすると、坪単価のうち1万円がキッチンの値段ということになります。

80万円のキッチンだと、坪単価のうち2万円をキッチンの値段が占めます。

ではお風呂の値段は?トイレは?洗面は?となってくると、
一体坪単価とは何を表しているのかよく分からなくなってきてしまいます。

6m×5mの建物があるとします。面積は30㎡です。

外周の長さは22mとなります。

3m×10mでは面積は同じ30㎡でも外周は26mです。

6m×5mの建物とは外周の長さが4mも違うことになります。

面積は同じなのに、外周の長さが違う。

ということは工事費も違って当然です。
建築部材の使用量が変わるからです。

坪単価50万円だからといって、2坪増やすと100万円の増額だとおっしゃる方もおられますが、
そうは簡単にいかないものです。
もっとかかるかもしれませんし、そんなにかからないかもしれません。

坪単価は、概算の時にある程度の目安として参考にするのは良いでしょう。

しかし工事の最後まで坪単価のまま話をすすめるのには注意が必要です。

家相について

「この家はわしが自分で設計したんや」とおっしゃる方がおられます。

ほとんどの場合において、いわゆる間取りを考えたことを設計したと言っているようです。

当たり前ですが、間取りだけで家が建つはずがありません。

今までの依頼者の中にも「自分で設計してきたよ」と言われる方もおられました。
(本当に「設計」をしてきたのなら私たちの仕事は必要ないのですが)

そんな方も大体において、どれだけ体が柔らかくても2階には上がれない階段だったりするわけです。

しかもその先の2階はなかったりもします。

で、こちらも苦心して1階がこうだと階段はこうで、構造と一緒に考えると2階はこういう感じですね、
と言うと大概の方は、やっぱりプロは凄いやと言ってボールを帰してくれます。

良い人です。

それでもゆずらない人、絶対笑われていますよ。気をつけて下さい。

逆の立場なら分かると思います(苦笑)。

まあ、そんなこんなで平面計画も固まり、立面図(外観ですね)も決まり、
いわゆる基本計画がほぼ固まって関係者一同盛り上がっている頃に、それは起こります。

日本で家を建てる場合に避けて通れない問題です。

「誰々の知合いに見る人いるから見せろと言われている。」

「親戚に見ることができる人いるから…。」

そうです、家相です。

家相を統計だという人が少なからずいますが、
適当な事を言うと統計学の先生に怒られますよ。


そんな統計は誰一人として見たことがないはずです。
母集団やサンプル数を明らかにしている書物なんて見たことがありません。

なぜなら存在しないからです。

断言します。家相に基づいて統計なんてとっていません。

家相では不浄なものであるトイレを鬼門である北東においてはいけない。

家族に病人がでたりして良くない。
災難にあう。
実際に○○家の△△さんは家を建ててからずっと病に臥せっている。

トイレが鬼門にあるからだ。

違います。


家相関係無いです。
統計だなんてもってのほかです。

体調不良を訴えて相談に来た100人の間取りの調査をすると、
なんと、半数以上の60人もの人が鬼門にトイレが配置されている家に住んでいる人だった。


このデータが事実だとしても、これが統計だと思う人は危ないですよ。霊感商法にだまされないようにして下さい。

こんなことは言いたくありませんが、
あの大震災で大変な目にあった方々はみな、家相が悪かったのからなのでしょうか?
家相が原因なのでしょうか?家相を良くしていたら津波に流されなかった?

悲しすぎます…。

これに答えられない家相関係の人は無責任だと私は思うのですが、日本人は優しいのか、喉元すぎればなのか…。


話を戻します。
建物の北東部分は南に比べると日も当たりにくく比較的湿度も高いかもしれません。
建物の配置次第では北東にトイレを配置しても南に面する場合もあります。
出来るだけ風通しの良い所にトイレは配置したほうが良いかもしれませんね。
それだけです。小学生の理科です。

でも昔の汲み取り式のトイレの時代と違って今は水洗トイレですから、関係ありませんね。
そもそもマンションのトイレには窓がありませんしね。

ここまで書いておいてなんですが、誤解なきように言っておきます。

家相を信じている人を否定しているわけではありません。

家相を見ると言ってお金をとって、その結果に対して責任を取ることもない人たちのことが嫌いなのです。

仕事柄、家相にはとても詳しいです。

家相に関する書物もたくさん読みました。
昔からの家相の成り立ちや風水にまつわる言い伝えの話なんて大好きです。
一般の人よりも詳しい、自信を持って言えます。

どんとこい家相、です。

ただ、家相を過剰に意識しすぎて使い勝手が悪くなったり、
無駄にコストアップしたり住む人にとって不利益になることもあるので、
程々にしないと何のための誰のための家かよく分からなくなってしまいます。

逆に家相が気になっていたのに、
そうではない家になってしまってストレスを貯めるのもどうかとも思います。


自分にとって家相はどういう位置づけなのか、設計者とよく相談して取り組んで下さい。

私が言うのもなんですが、
家相なんて!と頭ごなしに否定する設計者もそれはそれでどうなんだと、個人的には思います。

ローコスト住宅について

ローコスト住宅。

なんだか響きは格好良いですね。

直訳すると、「安価な住宅」です。
そんな住宅はたくさんあります。

新聞の折込広告をみて、設計の仕事をしている私たちでも、安いなぁ!と思うことがしばしばです。

安い住宅は安い住宅です。それ以上でもそれ以下でもありません。良いも悪いもありません。

安く建てているから安いのです。

特別でもなんでもありません。

全皿100円の回転寿司と、カウンターだけの時価のお寿司屋さんとは違うのです。

回転寿司を食べたい人はそうすれば良いし、時価のお寿司を食べたい人はそうすれば良いのです。

それ以上のものを求めてはいけません。

うまいもんはうまい。

安いものは安いのです。

安くしてもらっているわけではないのです。

ディスカウントではありません。

50円のものは50円です。

100円のものは100円です。

50円のものは100円のものを安くしてもらったわけではありません。
50円のものは50円の価値なのです。


みなさんのご自身の仕事に置き換えるとわかると思います。
安くするには理由があるでしょう。
損をしてまで、安くしないでしょう。

私たちが言いたいローコスト住宅(あまりいい言葉ではありませんが)は、
ただ単に安価な材料を使うのではなく、効率よく無駄なく、本当に要不要を考え、金額に反映させることです。

その価値や使い勝手を落とすことなく、全て理詰めでトータルの金額を抑える。
むやみに坪○○万円なんていう金額の出し方はしません。
これが設計事務所の目指すローコスト住宅です。

施工業者について

一般的には設計事務所では図面を作成し、
その図面を数社の施工業者に渡し、見積りを依頼します。

その数社からの見積書の内容を精査し、建築主に工事契約のアドバイスをします。

ですので、設計事務所は毎回違う施工業者と仕事をすることも多いのです。

自分にとって懇意の施工業者に工事をさせて、バックマージンをもらうなんて話を聞きますが、
そんなのはほんの一部であると私は信じています。

建築主の代理人であるべき設計事務所がそれをやってはおしまいです。

ただ、懇意にしている施工業者を建築主に推薦するというのは、別段間違っているとは思いません。


これを読んでいる方も自分の職業に置き換えるとよくわかると思います。

○○は腕もいいし、扱っている品物も良い。

××は今勢いがある。
△△は少数だが、よくやっている。
□□は老舗で信用があるが、一見さんは相手にしない。
○×はそろそろ・・・。

建築主、設計者、施工者とチームを組んでやる限りチームワークは大切です。


初めて組むチームであっても緊張感があって良い場合ももちろんあります。
いくら懇意であっても1回めはお互い初めてですから。

サッカーのチームのようなものです。

監督の考えを初めから分かっている人がいるほうが、チームはスムーズに動くでしょう。
しかし、マンネリになって、なあなあになってはいけません。
新しい風も欲しいところです。

例えば、あなたが依頼者した設計者が、断熱に非常にこだわる設計者だったとします。

あなたもそれに惹かれて設計を依頼しました。

その設計者の断熱の仕様は特別なものなので、
一見さんの施工業者では、理解不足もあり、設計者の指摘による手戻りが多々出る可能性があります。

もちろん、仕様通りに戻してもらえばいいのですが、やはり気持ちの良いもではありません。
やはり、仕様を分かってくれている施工業者に見積りを依頼したいというのが本音です。

ただいつも同じだと、緊張感もなくなるし、馴れ合いになってしまいます。

そこで、設計仲間から情報収集したり、他の事務所が設計した建物を見学に行ったりして、
腕の良い施工業者のリストを蓄積していきます。

設計事務所が推薦する施工業者はそういう関門を掻い潜ってきたところなのです。

慣れ合いや、バックマージンをもらうためではありません。

もしかしたら、設計者が、ここだ!と思う一つの施工業者に絞って工事を依頼するのが、
本来のあるべき姿なのかもしれません。

それは、建物の用途や規模、デザインによって、ここだ!と思う施工業者は異なるでしょう。

ひょっとすると、数社から見積もりを取るというのも、設計者の自信の無さの現れかもしれません。

きちんと工事金額を把握できていれば、1者指定をし、見積書の精査だけでも良いのかもしれません。

現に、数社から見積もりを取るなら工事はしない、
うちを信頼して工事を発注して欲しいという工務店も存在するのです。

それも、一般の方からの受注ではなく、設計事務所経由の仕事がメインの工務店です。

難しいところです。

耐震性能・耐震診断・耐震補強

1981年(昭和56年)以前に建築された建物は現行の耐震基準を満足しない可能性があります。

そこで、国を上げて旧基準で建築された建物、特に木造の住宅の耐震診断を促進しています。

気を付けて欲しいのは
耐震性能を満足しているからといって、何の心配もないということではありません。

法律上の文言等(厳密にはいろいろあるのですが)をまとめると以下の通りとなります。

稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力
(建築基準法施行令第88 条第2項に定めるもの)に対して損傷を生じない程度


極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力
(建築基準法施行令第88 条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊等しない程度

これが建築基準法で定められている建物の耐震性能と考えて良いと思います。

「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力」、
これは阪神淡路大震災級の地震のことを指すらしいのですが、
阪神淡路大震災クラスの地震が来たときに、
「倒壊、崩壊等しない程度」というのが建築基準法で定められた耐震性能ということになります。

何を言いたいかというと、
地震が起きたときに倒壊、崩壊はしないだろうけど、
そのまま住み続けられるかどうかは別問題ということです。

耐震診断を行い、耐震補強工事をしたとします。
耐震補強によって建物の耐震性能が目標値を上回ったとしても、
あくまでも、その建物が倒れる可能性は少ないよ、ということです。

ですので、揺れが収まったら出来るだけ早く建物の外に逃げなければなりません。

なぜなら次の余震で崩壊してしまうかもしれません。

例えばマンションなどの集合住宅で、耐震補強工事を行ない、現行の耐震基準をクリアしたとしても、
そのまま使い続けられるかどうかは、分かりません。

あくまでも『倒壊、崩壊しない程度』です。
財産価値が変わらないかと言えば、それも分かりません。

阪神淡路大震災後こんなことがありました。

某住宅メーカーが、阪神淡路大震災でもうち建物は大丈夫でした、

と言った意味の宣伝を行ったそうです。

国土交通省の某職員の方が、
あれは困るなあ、きちんと調査しないと、もしかしたら紙一重かもしれないのに。
とつぶやいていました。

耐震診断、耐震補強という技術はまだまだ日が浅いものです。

今現在の耐震診断の基準になっているのは阪神大震災(1995年)の際に収集したデータが元です。
当時倒壊した建物を計算しなおし、ある数値で線引きをした、ということです。

その数値を耐震指標:Is値といいます。

分かりやすく言うと、Is値0.6を境に耐震性能の有無が区分されます。

Is値0.6を下回る耐震性能の建物はIs値0.6を超えるように補強を行う、
というのが基本的な考え方です。
ですので、
1981年以前の旧耐震基準の建物であっても計算するとIs値0.6を超える場合もあるでしょう。
しかしその逆、 1981年以降の建物は基本的にIs値0.6を下回ることはないはずです。

学校等はIs値0.7を目標に耐震補強を行います。

警察など、重要拠点となるような施設はもっともっと高い数値をクリアするように補強、新築設計が行われています。

地震という自然の脅威は人間にとってまだまだ未知のものですから、
まだまだ大地震のたびにデータを収集している最中だとも言えます。

東北大震災(2011年)でも
耐震補強済みの建物が想定以上の損壊を受けているという報告も見受けられました。


津波での被害があまりに甚大でしたので、地震の揺れによる建物の被害、
またそれによる逃げ遅れ等はあまり表に出てきませんが、ゼロではないはずです。

建物が倒れずに残っているからこそ逃げられるのです。
建物が倒れずに残っているからこそ、道路を塞がれずに逃げることが出来るのです。

今は殆どの自治体で耐震に関する補助金助成金制度があります。

まだお済みでない方は是非、問合せてみてください。

そして耐震診断だけで終わるのではなく、耐震補強工事まで必ず行なって下さい。

自治体によっては木造以外の鉄筋コンクリート造や鉄骨造であっても、補助金を申請することができます。

お住まいの自治体の制度を確認してみてください。

学校や庁舎などの施設の耐震診断、補強設計も行っていますが、
それらは診断結果が目標数値を下回ると必ずといっていいほど予算がついて補強工事まで行われます。

または取り壊されます。

建築士会を通して行政の無料耐震診断を行う耐震診断士として、
いくつも木造住宅の耐震診断を行いました。

しかし民間の住宅の場合、実際に補強工事まで行う方は本当に少ないのです。

応急危険度判定士という資格があります。

文字通り、応急的に建物の危険度を判定しその建物への立ち入りの可否等を判定します。

震災建築物被災度区分判定・普及技術者という資格もあります。

被災した建物を度合いによって区分する資格です。
継続使用するための復旧の要否を判定します。

震災後にこれらの資格を持った建築士が、建物の危険度、被災度などを判定してまわります。

もし、大地震が起きて、それらの判定で被災地を回っているときに、私が耐震診断した住宅が崩壊していたら…。

もし、その下敷きになった方がおられたらと思うと…。

悔やんでも悔やみきれません。

不安に思われたら、まず、相談してみてください。

行政でも、設計事務所でも、建築関係団体どれでも結構です。

まずは相談から。

これは耐震でも新築でもリフォームでも同じです。

建築士としてのお願いです。