今から47年前、昭和48年に私の祖父である田渕誠也が設計した、
県立和歌山工業高校同窓会館の全面リニューアル工事の現場です。
祖父が設計した公共建築物の改修工事が行われ、 リニューアル後の外観の色をその設計事務所の3代目の代表でもある孫が考える。
これは全国的にも大変珍しいことではないかと思います。和歌山県初? もしかすると日本初かもしれません。
祖父は設計事務所設立前はこの工業高校の建築科で教鞭をとっていました。
そして奇しくも当初の設計年の昭和48年(1973年)は私の生まれ年でもあります。
とても不思議な縁です。
祖父は私が3歳の頃他界したらしいので、写真でしか知りませんが、当時の祖父の手書きの図面を見ながら、どういう色で塗り直すのがいいのか思い巡らせてます。
道路が拡幅されて今までとは違い、新しくて広い道路からよく見えるようにもなるので、祖父が残した建物で自分が新しい景色を作り出せるというのはとても楽しいです。
ただ、どうやってこの仕事を手に入れたかというと、県庁の入札のくじ引きでたまたま当たっただけ、というのがラッキーと言うか、これまた不思議な縁というか、でもこのシステムが腹立たしくもあり微妙な気持ちです。
とにもかくにも、このように建物は残るわけです。
建設時のいきさつを知っている人間は県庁の建築課にも、もちろん高校の事務方にもいません。
今回の工事も今いる先生や生徒たちのためだけではなく、未来の生徒たちにも責任をもてる工事をしなければならないということを忘れずに、ことなかれ主義に流されることなく流れていけるよう頑張りたいと思います。