地鎮祭と工事監理。

施設の皆様の想いが詰まった設計図に描かれた建物がいよいよこれから実際に立ち上がっていきます。
設計者として一つの区切りでもあると同時に、身の引き締まる瞬間でもあります。

工事が始まると設計者は監理者となり現場に関わっていきます。
工事監理とは、建築士法で

『工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう』

と定められています。

よく間違えられますが、私たちが行うのは『管』理ではなく、『監』理です。
管理は現場監督さんが行う、「工程管理」「品質管理」「安全管理」「予算管理」などのことを言います。
私たち工事監理者はその工程ごとに様々な項目で現場や書類を第三者の目で確認します。
原則すべての建物に工事監理者が存在します。
工事監理者を定めなければ建築確認申請が下りません。
第三者の目で工事を確認する人間を決めなさいと法律で決まっているのです。

2~3年前に騒がれたレオパレス施工不備問題において、書類上、工事監理者となっていたレオパレス所属の3人の一級建築士が国交省により免除取消処分を受けています。

処分の理由は、

<工事監理者として、工事監理(工事が設計図書のとおりに実施されているかいない かを確認すること)を十分行わなかったことにより、
本件各建築物の設計図書の断面図では、共同住宅の各戸の界壁が小屋裏ないし天井裏に達する設計がされているにもかかわらず、本件各建築物には界壁が小屋裏や天井裏に設計図書のとおりに設置されておらず、建築基準法(中略)の規定に違反する工事が行われる事態を生じさせた。>

となっています。

施設でもアパートでも住宅でも工事監理者の名前が建築確認申請書に書かれています。
自分の建物の工事監理者が誰なのかも知らないまま工事契約するなんて私たちからするととても信じられません。
信じられませんが残念ながらそういう人が多いのも事実です。

もし今これを読んでいて、これから建築を考えている方がおられましたら、
設計をする人、工事をする人と同じくらい監理をする人にも気を向けて下さい。

冬の青い空の下で建築士としてのお願いでした。

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