耐震/増築/改築/改修/リフォーム/リノベーションで、まず調べること

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解体して新築する? リノベーションする? その判断基準は?

最近TVなどの影響もあり、いわゆるリフォーム工事を行う方が増えています。

  • 中古住宅を購入して自分好みにリフォーム
  • 子世帯のために母屋に増築して2世帯に
  • いっそのこと、全部取り壊して建て直しの改築
  • 中古マンションを購入してリノベーション

日本語は難しいもので、一体これらの言葉の定義はどうなっているのでしょうか?

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  • 増    築 = すでにある建物に付け加えて建築すること。建て増し。
  • 改    築 = 建物や建造物を全部または一部とりこわして作りかえること。
  • 改    修 = 建物などの悪い部分を直すこと。
  • リフォーム  = 新築時の目論みに近づく様に復元する(修繕)
  • リノベーション= 既存建物を大規模に改装し、用途変更や機能の高度化を図り、建築物に新しい価値を加えること。

辞書などでは上記のような定義となっています。

役所への申請が必要となる工事、申請が不要な工事どちらもあるわけですが、
最近は、既存の建物に新たに増築して渡り廊下等で接続したい。
という相談が住宅、施設問わず非常に多くなっています。

まず大切になってくるのは既存の建物が適法であるかどうか。

これが大前提となります。

カーポートや自転車置き場、サンルーム、倉庫などを役所への申請なしに作られていれば、基本的に全て違法建築となりますので、それらを適法に是正することから始めなければなりません。

また、接続する既存の建物が旧耐震基準の場合、つまり昭和65年以前(1981年以前)に建てられた建物の場合、既存の建物の耐震診断を行い、耐震補強を行わなければ、接続しての増築は原則不可となります。

住宅はもちろん、施設でも同じですので、

病院や保育園など、昔からいくつかの棟を渡り廊下等で接続して使用していて、ある棟を取り壊して建て替えたい(改築)ときなど、ここでは説明できないくらい、非常にややこしく煩雑な行政上の手続きが必要となります。行政の方も頭を抱えている時もあります。

それを何とかするのも設計事務所の腕の見せどころだったりもします。

簡単に「出来る出来る!」という業者には要注意です。

さらに、昔の建物には建築時の申請は行っていても、工事完了時に役所の完了検査を受けていない建物が少なからずあります。

どういうことかというと、
こういう建物を建てます、と役所へ申請を行うと、役所が確認してくれるわけですが、本当に申請通り建てられたかどうかは、完了検査を受けていないと、誰も証明できないわけです。ですので、完了検査を受けていない建物は、まず、申請通り建てられているかどうかの調査が必要となります。

リノベしてマンションを店舗にとか、倉庫をカフェにという場合でも、
元の建物が完了検査を受けていなければ、適法な建物がどうか、耐震性が確保されているのかどうか分かりません。

さらにこのような場合、元の建物の用途が変わるので用途変更という申請も必要となってきます。
収容人数が変わるかもしれないので、荷重の確認や、スプリンクラー、避難経路などいろいろなことをチェックしなければなりません。

古い建物を調査し、違法な部分を是正し、耐震補強を行い、新たに完了検査を受け、その建物の財産価値をあげるということも多くなってきました。

これが本当のリノベですね。
耐震補強を行い、完了検査を受け、適法であるとのお墨付きを貰うことで、
古い建物であっても銀行からも融資をもらいやすくなり、また、集合住宅だと、家賃もあげることが出来るようです。

繰り返しになりますが、既存の建物に対して何か工事をしよう、中古の建物を購入しよう、と思ったらまず、

  • その建物がいつ建てられたのか
  • 建築当時確認申請を行っているのか
  • 完了検査を受けているのか
  • 違法な改修、増築等を行なっていないか

などを調べて下さい。

これらが分からない建物の場合、長い目で見るとあまり手を出さないほうが良いかもしれません。国もこれらの建築物の履歴とも言えるものを明確に記録していきましょうと、新たな法整備等を検討しているようです。

昔はそれでも良かったのに…。昔はそんなこと言われなかったのに…。よく耳にしますが、昔は昔です。キツイ言い方になりますが、自分だけは大丈夫、と工事金額の安さに釣られて、しまった~、とならないようにしましょう。たかがリフォームだと簡単に考えてはいけません。

取ってはいけない柱を取ってしまって業者と揉めている物件の相談もありました。

建物が傾いてきたというので調査すると、あまりにもずさんな基礎工事だったという相談もありました。

500万未満のリフォーム工事には何の資格もいりません。建設業の許可もいらないのです。ですので、看板を掲げればすぐにリフォーム工事を請け負うことが出来るのです。

何かあってからでは遅いのです。
欠陥住宅関連の相談者はみなさん、自分だけは大丈夫と思って、安易に、もっと言うと適当に契約しすぎです。

依頼する・しない、工事する・しない、
の前にせめて、まず信頼の置ける建築士事務所に相談だけでもしてみましょう。

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